2009年01月21日

不発弾

不発弾の話をします。

1945年沖縄戦がありました。
沖縄戦の3ヶ月間に沖縄に打ち込まれた砲弾・爆弾は、
20万トンと言われています。
23万人が死にました。

砲弾・爆弾というのは性質上、
5%は不発弾として残されるということ。
つまり1万トンの砲弾・爆弾は、
日本の1%しかない小さな島、
沖縄に残されたということになります。

1945年の沖縄戦終結から
2005年までに7500トンが処理されましたが、
まだ2500トン近くは残っていて、
(1000トンくらいは永久不明弾だということ)
それは年月を経て地中に埋まっているので、
全部撤去するのに80年以上かかると言われてます。
私が死んでもまだ不発弾は残ってるということです。

ちなみに終戦後すぐの頃、
地表にゴロゴロ転がる不発弾約3000トンを、
住民が素手で処理したとのこと。

沖縄では、今日も当たり前のように、
工事をする度に不発弾が見つかります。
2007年には781件不発弾処理がありました。
2007年といえば、私が英語を教えてる子の家は、
2007年に立替工事を始めました。
基礎を掘り返したら不発弾が出てきました。
彼女は生まれてからずっと、
不発弾の上で暮らしていたということになります。
工事は一時中断で完成が一年遅れました。

そうそう、不発弾は発見される状況により、
二種類に分類されるそうです。
民間の住宅建設や公共工事の時に、
偶然見つかったのを「発見弾」、
住民からの情報に基づき、
探査発掘するのを「埋没弾」と言います。
もちろん圧倒的に多いのは、
工事中に偶然発見する「発見弾」です、
2004年までの発見弾は26233件
埋没弾はたったの527件。

工事で発見されるのが多いのだから、
当然事前調査は徹底されるべきだと思うのですが、
これまで費用の問題で事前調査はあまり出来ませんでした。
不発弾の事前調査には50万円から2000万円かかります。
先日、糸満で起こった不発弾爆発事故では、
工事前の不発弾探査が行われませんでした、
不発弾探査は義務付けられているわけではありません。

ここで費用の問題をクリアにしましょう。
これまで、不発弾の撤去費用は国と市町村の両方で、
きっちり半分ずつ折半されてきました。
例えば西原町は2007年に111件の不発弾処理がありました。
その撤去費用の半分を西原町が負担したということです。
日本中どこを探しても年に111件不発弾処理がある町はありません。
撤去費用が市町村の財政を圧迫するのは言うまでもありません。

撤去費用と一口にいっても、
不発弾が見つかると、
まず土嚢で囲ったり、防御壁を作ったりします、
それからチラシや新聞などで住民への広報、
堀削工事、自衛隊への撤去要請、
警察の派遣、住民の避難や交通規制、
処理後の補修工事、処理手続きなどなどあります。
市町村は毎年たくさんのお金を払ってきました。

不発弾探査の話に戻ります、
これまで民間の工事の場合、探査は、
積極的には行われてきませんでした。
「岩盤が固いから大丈夫だろう」
「住民情報がないから大丈夫だろう」
という危ない橋を64年間渡ってきたということです。
それほど頻繁に発見される不発弾、
それほど財政を苦しめる事前調査費、ということです。
これまでにも不発弾の事故はたくさんありました。

長年の要請の甲斐あって、
2009年度から、沖縄だけの特例ということで、
不発弾処理費用は全額国の負担で行われることになりました。
沖縄ではそのニュースは新聞の一面を賑わしました。

しかしそこには大きな落とし穴がありました。
政府は、公共事業の場合だけ全額負担をして、
民間工事はその例外だと言うのです。

繰り返しますけど、
予算のたっぷり付く公共工事だと、
事前調査から不発弾処理、修復作業まで税金を投入するけれど、
民間工事の場合はこれまで通り、
半分は自分でお金を出してくださいということです。

不発弾の4割は民間の工事現場から発見されています。

先日起きた糸満の不発弾爆発事故も民間の工事でした。

沖縄は全ての事前調査も国の責任として、
費用を負担するよう求めています。
国の工事の場合は沖縄県民を守るけど、
民間の工事だったら守りませんよ、
というこれまでシステムは変だと思うからです。

沖縄県に対し、日本政府はたくさんのお金を与えます。
だけどそれは、基地への代償で、
しかもその使い道はいつだって海を埋め山を壊す、
そういう公共工事に使うお金と決まっています。
そしてその工事の時だけはきっちり行われる不発弾の事前探査。
不発弾が見つかった場合も国が費用を負担してくれます。

しかし振興開発のお金をアメのように降らせる政府も、
民間工事の不発弾処理の事前調査費用となると、
なぜか出し惜しみをします。

内閣府沖縄総合事務局幹部は、
「沖縄の現状は十分理解している。
だが沖縄だけの特例が即座に認められるかというと厳しい」
とインタビューで答えていました。

これはちょっと変です。




Posted by shinakosan at 11:32│Comments(5)
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この記事へのコメント
東京の家の近所でも不発弾処理が最近有りました。
日本軍のもので、爆発の恐れは無いようだったけど。
再開発されていないような所では、アメリカの落とし物もまだまだあるはずー。
事前調査も公共事業に為るのに、何で出し惜しみしてるんだろ?

戦争は、本当にどこから見てもどう考えても全くの無駄。(タバコとおんなじ。)
負の遺産もいっぱい。
お金も時間も資源も命も、み~んなモッタイナイ!

東の中の方でも、何十年もそんなんやってないで、もうやめい。
「約束の地」や何や知らんけど、そこにすんどるモンを殺して蹴散らして、自分らだけの国を作れって書いてあるんかいのー。
ハマチだかハマスだかも、「抹殺」なんて物騒なことは言わんといて。
日本の基地も武器も絶対貸したらアカンよ!

↓ インフルエンザ?(おだいじにー。)
Posted by カムイ at 2009年01月23日 00:16
>カムイさん
  うんうん、不発弾、日本全国にあるでしょうね!
  都道府県が勝手に戦争をそれぞれやったのではなく、
  日本という国家が戦争をしたのだから、
  日本という国家で戦後処理をするのは、
  当然だと思うんですけど、そういう認識はないみたいですね。
  やたら「テロ」を連呼して自衛隊派遣する日本政府は、
  もうちょっと「自国の安全」について検討して欲しいです。
  
  インフルエンザじゃないみたい。
  なんだろー全然治らない!
Posted by shinakosan at 2009年01月24日 06:43
皆様 
 またきゃすっち現れました、怖いです。
 早速消しました。
   (きゃすっち at 2009年01月25日 02:17:44)
 被害者がとても多いとのことです、
 皆さんもお気をつけくださいませ。
Posted by shinakosanshinakosan at 2009年01月25日 06:58
shinakoさん、この話、大事な話で多くの人知らないとおもうので転載させてもらいした。
Posted by あずーる at 2009年01月28日 22:11
>あずーるさん
 ありがとうございます☆
 爆発事故の後も、黄りん弾から煙が出るという騒ぎが2件、
 今日は、小学生が学校に行く途中で不発弾を発見し、
 先生に見せようと不発弾を学校に持ち込むと言う騒ぎが起きました。
 不発弾、こわいです。
Posted by shinakosanshinakosan at 2009年01月29日 12:09
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