2011年03月20日

福島第一原子力発電所での負傷者

厚生労働省が、被曝量の限度を引き上げている。

産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110315/plc11031523070047-n1.htm

厚生労働省は15日、東日本大震災での福島第1原発事故で応急対策にあたる作業員に関し、放射線の被曝線量限度を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げる規則の特例を定めたと発表した。経済産業省などの要請に基づくもので、250ミリシーベルトへの引き上げは初めて。これにより1回あたり15分程度だった作業時間が30分程度に増えるという。

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これまでの負傷者については東京電力ホームページで見る事が出来る。

東京電力
http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/htmldata/bi1363-j.pdf

【3月11日】
-地震発生当初、発電所構内において協力企業作業員2名に負傷が発生し、病院に搬送
-1号機付近で大きな音があり白煙が発生した際に4名が負傷し、病院へ搬送
-当社社員2名が現場において、所在不明
【3月12日】
-当社社員1名が左胸を押さえて立てない状態であったため、病院へ搬送
-免震重要棟近傍にいた協力企業作業員1名の意識がないため、病院へ搬送
-原子炉建屋内で作業していた当社社員1名の線量が100mSvを超過し、病院へ搬送
【3月13日】
-当社社員2名が1,2号機中央制御室での全面マスク着用作業中に不調を訴え、
福島第二原子力発電所へ搬送
【3月14日】
-3号機付近で大きな音があり白煙が発生した際に11名が負傷し、
福島第二原子力発電所等へ搬送。そのうちの1名を病院へ搬送

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東電社員じゃない人も沢山負傷していることが分かる、
行方不明者も、いる、何故だろう。
そして東電社員と言っても、9割以上は正社員じゃなくて、
原発ジプシーと呼ばれる日雇い労働者だ。

彼らの待遇はこうだ。
http://job.j-sen.jp/hellowork/job_3373229/

募集職種 作業員(福島第1・第2原発)
仕事内容 *原子力発電所内の定期検査・機械・電気・鍛冶溶接及び足場作業
     (高濃度放射線下での作業も有)
雇用形態 正社員以外
日給:9,000円~11,000円
a 基本給(月額平均)又は時間額189,000円~231,000円
b 定額的に支払われる手当
a + b 189,000円~231,000円
c その他の手当等付記事項
皆勤手当 8,000円
募集年齢 不問 応募資格 不問
特徴 学歴不問 年齢不問
通勤手当あり 各種保険あり
マイカー通勤可能 スキル・経験 不問

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結局、原発事故で苦しむのは地元の人間や原発ジプシーであって、原発で儲けている東京電力でも、原発は安全と言いまくっている偉い学者たちでも、ましてや福島原発から電力をもらっている関東人でもない(いや、こればっかりはどうなるか分からない、被害が拡大しない事を祈るばかり)。

消防、警察、自衛隊、次々と送られる男たち、現在500人体制だと言う。彼らとて原発事故を想定した訓練を受けた事はなく、ましてや放射能の知識など皆無に近いと思う。チェルノブイリやスリーマイルの原発事故という歴史から目を背け、「原発はクリーンで安全」を呪文の様に唱え、原発がないと生きていけない言説を生み、そういう社会を作ってきた電力会社はこの責任を取ることが出来ない。

ここ数日、メディアが繰り返すのは「ただちに健康に影響を及ぼす物ではない」という台詞だ。これが意味するのは「いつかは白血病や癌などの健康被害がでるかもしれないけれどそれは分からない」ということだ。公害問題が証明しにくい様に、放射能と健康被害の因果関係を立証することは難しい。そして立証出来ない場合、国や電力会社は責任を取らない、これまでずっとそうしてきた様に。

ワイドショーは「今回だけ、たまたま予想外の大地震と津波に襲われたからこうなったのだ」というニュアンスでお茶の間を洗脳しようとしている。悪名高いみのもんたの番組に至っては「この窮地を乗り切れば日本は世界一の原発大国になれる」と言ったらしい。世界が日本の原発事故を受け真剣に脱原発を考え始めているのに、まだ事故の収拾もつかない日本でこのような言動がある事こそ「不謹慎」なのではないか。日本人のマナーを褒め讃え、東北の復興を願ってくれた海外メディアには是非「こんな事態になっても脱原発を口に出来ない日本」という惨事を報道してもらいたい。

メディアにぶつけたいもう一つの不満は、原発事故の現場に向かう人々を「英雄」として祭り上げる描き方についてだ。特攻隊を見送る戦争当時の日本国民の気持ちが分かった。誰も口に出せない、行くなと言えない、行きたくないと言えない、そういう空気をメディアが作り上げている。安っぽいドラマを作っている場合があったら被曝覚悟で作業に向かう人たちの安全がこの場合のベストな状態で確保されているのか、健康被害が出た場合は誰がどこまで保証するのかなど、国や東電を厳しく追求してくれと願うばかりだ。英雄という価値のない称号と引き換えに健康や命を危険に曝すことを求められるというのは本当にどういう気持ちがするのだろう。

ちなみに、信じられない話だが、今日も中国電力が山口県上関に原発を作るため「粛々と」工事を進めているし、中部電力は地震があった静岡の浜岡原発(以前から地盤の緩さが指摘されている)を一時停止する処置をとっていない。地元の老人たちが「浜岡原発を止めろ」と訴え座り込みを始めたというので私にも出来る事はないかと、浜岡原発(℡0537-86-3481)に電話をかけてみた。夜10時を回っていたので留守電につながると思いきや意外にも陽気な中年男性が電話を取った。

私 「原発、動いていますか?」
男性「はい、ちゃんと動いてますよ。」
私 「止める事って出来ないですか?」
男性「私ちょっと詳しい事は分からないので明日朝8時半にまたかけてもらえます?
   詳しい者たちが出勤してきますのでその時に聞いてください。」

原発に詳しい人たちは夜は家に帰るのだろうか?もしも夜中に地震や津波が起こった場合、緊急に対処出来る人はいないということだろうか?

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頭が痛くなってきたのでとりあえずここまで。
原発ジプシーに関する記事をいくつか紹介するので是非読んでほしい。

原発がどんなものか知ってほしい 平井憲夫
http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html

原発ジプシー 川上武志
http://www.janjanblog.com/archives/27114

日本の原発奴隷 エル・ムンド
http://www.jca.apc.org/mihama/rosai/elmundo030608.htm

原発で働く人々 よく分かる原子力
http://www.nuketext.org/roudousha.html

映像の方がいい方はイギリスのch4が制作した
「隠された被曝労働~日本の原発労働者」を見てほしい。
http://www.youtube.com/watch?v=92fP58sMYus
http://www.youtube.com/watch?v=pJeiwVtRaQ8&NR=1
http://www.youtube.com/watch?v=mgLUTKxItt4&NR=1

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福島第一原発、第二原発が一刻も早く収束を迎えます様に。
日本が脱原発大国になります様に。




Posted by shinakosan at 12:13