環境アセスって何だよー

shinakosan

2008年01月18日 11:38

行ったよ、県環境影響評価審査会。
本当に行って良かった、最悪だった。



まず、「環境アセスメント」って言ったら、何か大きな工事とかする時に、ソレが作られたら環境にどういう影響が出るかという事を予測、評価するもさーね、私が行った「審査会」と言うのは、県知事が何か大きな工事する前にやる「アセス」の前に、いわゆる「有識者」に「こういうの作るるらしくて、こういう方法で調査するって言ってるんだけど、どう思うねー?」と聞いて、それに住民の意見も足して「審議会の意見」を作り、知事意見を言う時に見て参考にするための機関。


16日の審査会は、今沖縄の普天間にある米軍基地(アメリカだったら危険だからその周辺に人を住まわさないのに、普天間基地の周りには住宅や学校が沢山ある、米軍のヘリが落ちたのもその辺。言い換えるなら住民が基地を守ってる感じ、かなりヤバイ。)をどかす代わりに辺野古の海の上に基地を作ろうという計画の、その埋め立て部分について話し合う最後の日だった。


その審査をするために、事業者の「沖縄防衛局」は「どんな方法で何のために環境アセスメントをやりまーす」という方法書を審査会に提出して審議してもらうんだけど、これがかなりありえんくて、最初は7ページの事業の目的と内容だったのに、後から「あ、そういえばコレも!」と言って150ページ追加してきた(え、21倍?)。 しかもこの日は防衛局の人誰も出席していないし。


沖縄防衛局が何か言う度に新情報が出るので、審議委員達は「なんかコレ?後出しじゃんけんか?」嘆いて、副会長は「事業者は、本当はちゃんと決まってることがあるんでしょう?全部言いなさい。」と振り回されてることに苛立っていた。委員会で「OK」が出そうなこと並べておいて「あ、もう一個!」とかで「沖縄のビーチの砂全部取りますプラン」とか追加するんだよ、インチキじゃん?っていうか小学生か?


委員の一人が「もうこんなんだったら、手続きをやり直させませんか?」と言ったので傍聴席から拍手が起こり、そしたら沖縄県「環境政策課」」の人が顔を真っ赤にして怒って「法律でそういうことは出来ない!」と言い出した。むーちーびーさで寒い日だったのに審査会の部屋の中は熱気で汗ばむほどだった。


そこでやっぱり「ちょっと待った!」を言ったのは、あのイケイケ建築士、真喜志さん。皆彼が出てくると「今日は何を言い出すのだろう?」という期待で胸が高鳴る。彼は資料を配ると、「環境アセス法第28条に軽微な修正の場合を除き方法書の出し直しを求めることが出来るとあります!」とガツンと言った。


そしたら県環境政策課の人は荒げたい声を押し殺し「アセス法の解釈上、法的強制力を持たせた書き直しは出来ない」と言い、しかも「環境省もそう言ってた」と日本政府がバックについてることを自慢しはじめた。だからなんだ、法律の問題じゃないのか?


ちなみに環境影響調査法第5章対象事業の内容の修正等(事業内容の修正の場合の環境影響評価その他の手続)の第28条っていうのは、「事業者は、第7条の規定による公告を行ってから前条の規定による公告を行うまでの間に第5条第1項第2号に掲げる事項を修正しようとする場合(第21条第1項又は第25条第1項の規定の適用を受ける場合を除く。)において、当該修正後の事業が対象事業に該当するときは、当該修正後の事業について、第5条から前条までの規定による環境影響評価その他の手続を経なければならない。ただし、当該事項の修正が事業規模の縮小、政令で定める軽微な修正その他の政令で定める修正に該当する場合は、この限りでない」ということ。


それから、環境庁編集の逐条解説152ページには「環境の保全上の問題の少ない事業案を提示し、後から環境の保全上の問題の大きい事業暗に変更することを認めることは、制度の意義を著しく損なうこととなる。したがって、このような場合に、手続きの再実施を義務付けることが必要になる。」と書いてる。


(そういえば前回の日記にも色々書いたからそれも読んで☆「軽微」とか「20%未満」っていう曖昧ゾーンの解釈でもめていた。どう考えても沖縄の砂全部取るのは「軽微」じゃないんだけどね。)


だから、つまり法律を間違って解釈しない限り「はー?沖縄の砂浜無くすのが悪いばー?埋立地の計画は変わってんからいいやっしー!」とはいえないでしょう、普通に考えたら法的強制力を持って書き直しを要求できる、そうでしょう?でも私がタカアンドトシ風に「小学生か!」と突っ込みを入れたい方法方を、アセス審査会は「全然駄目、いったーの方法書は法律違反だから書き直せー」とは言わず「事業内容がある程度想定できる現段階で書き直すべきだ」とした。


「なんでー?書き直せるからいいさー」と思った皆さん、「法的に書き直しを要求する」のと「自主的に書き直してください」とでは雲泥の差があるのをご存知か。それは「公告縦覧」!


「公告縦覧」は環境アセスで一番大事な「住民の意見を聞く」ってことで「公告縦覧」の間は、学者でもショップ店員でも学生でもニートでも、メモ用紙1行でも、原稿用紙500枚でも何でもいいから直接言いたいことを「物申す」事が出来る機会。「有識者とて万能じゃない(現にアセス法第28条を言ったのは委員じゃなくて真喜志さんだし)わけだし、私達国民は主権者なんだし、ここは一つびしっと言わせてもらうよー」という大事な機会を貰えないということ、これは一大事!


委員のなかには命を削って真剣に考えてるよなーって人もいれば、「法に従うようにやりましょう」とか、私が考える「委員」とはかけ離れた発言を繰り返す人もいた。委員が考えるのは「どうやって無難に行くか」じゃなくて、「アセスはコレでいいかどうか」じゃないの?顔も名前も出して委員をやるのは大変かもしれないけど、引き受けた以上誰の顔も見ないで、自分のキャリアと人生を掛けてプライドを持った審議をしてくれよ。これは「今」の問題じゃなくて「未来」の問題だぜー。 人は「結構形式的にアセスをやる審査委員もいるけど今回はいい方」なんて言うけど素人で環境影響評価の現実を知らない私にとってはとてもじゃないけどぬぐえない「違和感」を感じた。

事業者がアセスを話すとき、もうすでに何かを作ることが決まってる。どうしてもソレをやらないといけない(得意の圧力か?)事業者は何としてでもアセスをやって「問題ない」というデータを出して工事に着手する。その為の形式的なアセス。アセスのおかげで覆ったケースなんてない、だけどアセスのプロセス踏む以上、しっかり頼む、だってこの形式行事にかかるお金はモチロン税金ですから!はい、ここ怒るところです。


傍聴者の中に、「これはとりあえずは方法書を書き直させられるんだからましな、いや、良い答えだよ」と言う人がいた、確かにそうかもしれない。一番悪いシーンは避けられた。


さて、これからどうなるか、知事はなんと言うだろうか。
おい仲井眞、沖縄のビーチはまでは売らんでよー。













えっと、終わろうと思ったけどもう一言だけ。

今回初めて審査会を傍聴して、傍聴席のパワーなるものを感じて身震いがした。サッカーのサポーターの様な、一歩間違えばフーリガンと化することも出来るような(傍聴者心得の紙が配られていて、それに「刃物、棒、プラカード、旗、拡声器、笛、ラッパ、太鼓等を審査会場へ持ち込まないこと」とあった。ラッパってうける)真剣なまなざしを審査会に投げかけ、県の「環境政策課」の人たちにじりじり詰め寄る空気を漂わせるのはオーディエンスだ。昨日の傍聴者が一人でも欠けていたらあの結果は導き出せなかったかもしれない。本当にすごいオーラだった、大勢の中のたった一人だったけど、あの一員になれてよかった。