2008年02月22日

「蓋」

米陸軍兵が比女性暴行 県警、近く逮捕状
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802211300_01.html


私だってデートの話や海に行った話や、
おばーちゃんと話したことや、
今日一番笑った事について日記を書きたい。

無理に思考を開始されたくない。
臭い物に蓋が出来るならそうしたい、
でも私にはその「蓋」がもうない。

少女暴行事件で再発防止を誓ったのは何だったのか。
倫理教育や外出禁止で綱紀粛正をすると言ったのは嘘だったのか。

今月18日にまたしても女性暴行事件が起きていた。
10日の少女の事件からたった8日後の出来事だった。
被害者のフィリピン人女性は怪我を負い入院しているという。

容疑者の身柄は米軍側にある、
沖縄の、フェンスのこちら側で起こった事件、
なのに私たちがこの事件を耳にしたのは今日になってから。

2月10日 海兵隊二等軍曹による女子中学生暴行事件、
2月17日 嘉手納基地所属の空軍二等軍曹による酒酔い運転、
2月18日 キャンプシュワブ所属の海兵隊伍長が住宅進入、
2月18日 フィリピン人女性に対する暴行致傷事件。

「無期限」と発表された外出禁止令は、
20日から25日までたったの5日で解除になる。
解除後には兵士たちの心待ちにするペイデイ(給料日)がある。

琉球新報で外務省関係者が
  「映画にも行けないなど、
  外出禁止は米兵にとってとても厳しい措置だ。
  一ヶ月も続けていたら人権問題になる」
と禁止措置が長期間にならない背景を解説したとある。

もしこの記事が本当だとしたら、
上記のように思考し解説したその方に問いたい、
  「それでは、暴行を受けた少女やフィリピン人女性や、
  酒酔い運転車両の隣を歩いていた人々や、
  住宅に侵入された人たちの、
  そしていつ米軍犯罪の被害者になっても不思議ではない私の、
  その「人権」というものは一体どこにありますか?」と。

基地を沖縄に置くその最高責任者であるはずの、
ブッシュ大統領は事件に対するコメントを出していない。
基地を沖縄に置くその最高責任者であるはずの、
福田総理大臣は沖縄に来て問題解決に努めようとはしない。

神経をすり減らし対策を練って声を枯らして再発防止を叫ぶのは、
そして絶え間なく続く事件の度に、心の傷を抉り返され涙を流し、
怒りに震えたり、行動を迫られたり、罵られたり、
あるいは神経を麻痺させ、不感症であるよう反応させられるのは、
米軍犯罪者の被害者であり、リスクを背負った「蓋」を持たない住民だ。

「蓋」を持つ支配者と「蓋」を持たない被支配者。
私が生きてるのは彼らが第三国と表現する国でも、
悪の枢軸と呼ぶ国でもない、60数年前に民主化されたと言われる、
基本的人権、国民主権、平和主義を原理とした憲法を持ち、
GDP世界第二位の経済大国の法治国家、2008年の日本という国だ。
けれど気が遠くなるほど昔にロックが謳った基本的人権も、
2008年の先進国が持つその「蓋」の上だけに存在することを、
私は見てしまったのかもしれない。

「蓋」を持つ誰の言葉も信じられない、
パフォーマンスはもういらない。
もうどう説得されても基地を肯定することは出来ない。

被害者の方のあらゆる傷が一日でも早く癒されて欲しい。
私は彼女を被害にあわせた容疑者を憎いと思う、
そして同時に私は容疑者を輩出するそのシステムを憎いと思う。
そしてそのシステムを維持する「蓋」を持つ支配者を憎いと思う。

構造を解消させることで沖縄は真剣に反応するべきかもしれない。
それは人類館のように「蓋」を持つための努力ではなく、
「蓋」ではなく「入れ物」そのものを崩壊させる努力。
もう暴行事件はいらない、もう基地はいらない。




Posted by shinakosan at 00:24│Comments(8)
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この記事へのコメント
はじめまして自分もこの問題を真剣に考えているものです。

米軍と沖縄この関係はもはや切り離して考えるには根が深すぎて
どちらかを切ってしまうと萎れた花のようになってしまうのかと考える
事もあります。

真面目な米兵と結婚し幸せな家庭を持っている日本人やベースキャンプ
で働く人々。
その影で米兵の暴行や交通事故で泣く犠牲者の方々。

どちらも善人です。
個人的には基地はいらないと思いますしこんな事件も2度とおきてほしくない
・・・
けれど相反する善良な米兵とその家族達の事を考えると同じように胸が
痛みます。
Posted by シュウ at 2008年02月22日 15:47
はじめまして自分もこの問題を真剣に考えているものです。

米軍と沖縄この関係はもはや切り離して考えるには根が深すぎて
どちらかを切ってしまうと萎れた花のようになってしまうのかと考える
事もあります。

真面目な米兵と結婚し幸せな家庭を持っている日本人やベースキャンプ
で働く人々。
その影で米兵の暴行や交通事故で泣く犠牲者の方々。

どちらも善人です。
個人的には基地はいらないと思いますしこんな事件も2度とおきてほしくない
・・・
けれど相反する善良な米兵とその家族達の事を考えると同じように胸が
痛みます。
Posted by シュウ at 2008年02月22日 15:47
すいません。二重投稿してしまいました。
ごめんなさい。
Posted by シュウ at 2008年02月22日 15:48
>シュウさん
 コメントありがとうございます。
 そうなんです、だからこそ、犯罪だけではなく個人ではなく単に基地や政府だけではなく、そのミクロとマクロの両方を一緒に考えるのが大事なのですよ。誰かに責任を押し付けてその人や団体を攻めるだけでは何も生まれない。もっと皆で皆のこととして考えることが必要ですね。根は深いけど、根がないわけじゃない、根があるならそれを取り除けばいいだけの話。不可能なことじゃないんです。
Posted by shinakosan at 2008年02月23日 09:51
てめいら だれさまの おかげで めしが くえてるんだ~~~~

それを 住民に思い知らしめるのが 今回の そして いままでの 外出禁止令

効果絶倫ですね

ヤクザの手法そのもの

それを乗り越えられたら 沖縄は解放されるのだが・・・・・・・・

ここまで書いて、ある離婚願望女性が 密かな準備?に精をだしているブログ 思い出した。
やはり、根本的解決には米軍をおいだしても困らない実力を蓄えることかも・・・・
Posted by n.f at 2008年02月23日 10:07
 みなさまのコメントを見て思ったのですが、確かに米兵によって成り立っている店はあります。
しかし、基地の存在が沖縄の経済を圧迫している側面もあります。こういう事件の時は必ず金銭的見返りを受けているからしかたない等いう考えはありますし、小学校のころ私もそう発表したことがあります。
 だけれども、911関連や北朝鮮の標的に基地がなることにより、観光という経済を圧迫しています。沖縄の観光は基地よりも主力であると思います。対日本だけではなく、韓国でも観光地として人気が高まっています。
 経済についていうなら、観光の足を引っ張ってる事実について知ってほしいなと思いました。
 私の基地に対する感情はsinakosanと、多くの県民と一緒です。経済のメリットは基地の弊害をおぎなえるほど大きくは無い、基地はいらないと私も思います。
Posted by 元宜野湾市民 at 2008年02月24日 16:11
すんげー嫌なこと言っていい?
『海兵隊員とは海外への侵攻を目的とした部隊であり、戦争状況開始直後、もっとも困難でもっとも苛烈な戦場において活動する部隊である。ゆえに、戦時において彼らはどのような目標に対しても躊躇わずに引き金を引くことを要求され、そしてその“戦時”は、アメリカのイラク・アフガンに対する姿勢からも明らかなように、常に突発的に発生する。米海兵隊にとって、戦争とは非日常ではなく、普段の生活から連続した“日常”の風景なのである。ゆえに、隊員達は日常の中でその攻撃性を鈍らせることがあってはならない』と、言うこと。
んー。書いたけどなんか場違いな気もする。
判断保留。公開の適不適はブログ主さまへ委ねる。
Posted by sutehun at 2008年02月25日 02:55
>n.f さん
そうそう、やくざなんです。最初に基地を作っておいて住民を捕虜生活から放つ、私の祖父の土地も基地の中にありますが、彼らは家にも墓にも帰れない、そうやって基地を囲むように仕方なくひしめき合いながら基地の町が出来上がりました。ですから飛行禁止区域なんかもないわけです、騒音も犯罪も一挙に引き受けさせられているというわけです。やくざだよなー。

>元宜野湾市民さん
そうそう。そもそも基地経済等のは60年前には存在しなかった。それは政治的に作られたものといっても過言ではない。昔はなかった米兵相手の飲食店や小売店、そして基地存在が故の一見「飴」に見える交付金で振興策と題して環境破壊をやる土建会社、彼らを必死になって守る日本と言う政府も、多くのリストラや規制緩和による貧困層の激増などには目をつぶり、「努力しない方が悪い」とネオリベ理論を堂々と展開する、本当におかしいと思います。
あなたの言うように、911で沖縄が唯一自慢できる観光産業がいかに不安定なものかを私たちは知りました、それから以前日記に書いたのだけど、ジュゴンを殺しへのこに基地をつくるため沖縄の砂浜をなくすほどの海砂を採取するという防衛局の方法書等、私たちは構図を今のうち把握しないと、観光さえも廃れてしまうという訳です。今は結構ヤバい状況だと思います。


>sutehunさん
軍隊というものを、軍隊とは一体何のためにあるのか、その存在意義や軍隊が存在するために弊害について、軍隊が何をしてきたかという歴史について、私たちは考えることをしない、考える時間を与えられてこなかったんだと思います。国家の安全を守りながら国民の安全を奪うというその体質を、私たちは否定できないと思います。「軍は住民をまもらなかった」という沖縄戦からレッスンは、現代日本人が見落としている減退の本質をまじまじと見せつける非常に貴重なものではないかと思いました。
Posted by shinakosan at 2008年02月27日 07:45
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